絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

慢性の痛み

慢性の痛みの治療

【薬物療法】
まず試される治療法です。いろいろな薬剤が処方され、しばらくしてからその効果を聞いて薬剤の調整が行われます。
【神経ブロック】
痛みを感じる神経を直接麻酔薬でブロックすることにより、痛みの感じ方を低下させます。ブロックは痛みの信号を遮断する効果と、脊髄より上部の脳側で痛みに対する感じ方が強まることも防止します。また痛みにより縮まった血管を、神経ブロックで広げる効果もあります。さらに神経ブロックは、痛みを発生させる物質の発生とそれが周りに広がることを抑える効果もあります。その結果、痛みがどんどん強くなる悪循環を断ち切る効果もあります。神経ブロックの効果は一時的ですが、繰り返すことによりその効果はいっそう強まります。しかし、長い間繰り返しているとその効果は薄れることがあり、その場合他の治療方法が検討されます。
【外科手術療法】
画像検査で神経を圧迫している病変が観察された場合、その病変を除去して神経に対する圧迫を解除する外科手術が選ばれます。
【脊髄刺激療法】

脊髄刺激療法とは、微弱な電気信号を脊髄に送り、「ピリピリ」とした不快でない感覚をいつも痛みを感じる場所に与えます。この刺激された感覚を、脳に痛みとして感じていた感覚と置き換えることにより、結果として痛みの感覚を和らげる効果があります。神経ブロックと同じような効果がありますので、神経ブロックが有効の患者さんに選ばれる治療法です。神経ブロックが繰り返し有効である患者さんは、この治療法で長い間にわたり痛みを和らぐ事が実感でき、生活の質の向上が認められます。さらに脊髄刺激療法は、患者さん自身が痛みの程度に応じて、刺激の強さや刺激する場所を変える、また刺激を一時的に中断するなどの操作が可能です。慢性の痛みを持つ患者さんでは、薬物療法やリハビリテーションと脊髄刺激療法を組み合わせることによって、今までの生活を取り戻すチャンスが生まれます。

この脊髄刺激療法で埋め込まれた装置は、将来慢性の痛みが治った時に体の中から取り出すこともできることも特徴の一つです。

脊髄刺激療法について細かくは、別のページで説明します。

【リハビリテーション】
リハビリテーションでは、患者さんが慢性の痛みを感じ、それが基で本来の生活に制限が加わった状態から、もとの生活の状態を取り戻すための機能回復を行います。理学療法士、作業療法士、臨床心理士がチームを組み、患者さんを本来の生活に戻す訓練が行われます。もちろんリハビリテーションは、その他の治療法と組み合わせることによって最大の効果を発揮します。

ページの先頭へ