絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

下垂体腫瘍

ホルモン非産生腫瘍(ホルモンを多く作らず細胞が腫瘍化したもの)

特に症状がなければ手術は行いません。ただし血液検査の結果、下垂体の機能が低下してホルモンが正常に出ていない場合、不足しているホルモンをお薬で補充します。腫瘍が大きくなり眼の見える範囲が狭くなった場合は、手術が考慮されます。この腫瘍に対して、お薬で腫瘍を小さくする方法はありません。時に放射線治療が必要な場合もあります。

ホルモン産生腫瘍(ホルモンを普通よりたくさん出すもの)

プロラクチン産生腫瘍は、飲み薬による薬物治療が基本となります。手術を行う場合は、比較的腫瘍が小さく手術で取り除くことが可能と思われるもの、飲み薬が効かない患者さん、飲み薬による吐き気などで薬を継続して飲めない患者さんなどです。

成長ホルモン産生腫瘍の治療は、手術による摘出が基本です。その後成長ホルモンの値が十分下がらないときは、放射線治療、飲み薬、注射による治療が追加されます。

手術について

全身麻酔を行い、鼻の穴から行います。鼻腔の奥で下垂体を下から支えている頭蓋骨を一部除去し、リング状の道具で下垂体腫瘍をかき出します。時に内視鏡を使いながら、奥の隠れたところの腫瘍も摘出します。鼻の穴から行いますので、傷が体の表面に残らないことが最大の特徴です。全部取り除いたら、おなかの脂肪を取り除いた部分に移植し、手術は終了です。

<下垂体腺腫の治療>

経鼻的にリング状の器具と内視鏡を挿入し、病変をかき出す。

松前光紀著 「脳腫瘍の理解」 クリニカルスタディvol.29,no.14,2008年 メヂカルフレンド社 イラスト:北原 功

ページの先頭へ