絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

もやもや病

お薬による治療法としては、血液を流れやすくする抗血小板剤などが使われることがありますが、症状をよくしたり出血を予防する効果はありません。

出血した場合は緊急手術が必要で、血液を脳の中から排除する外科治療が行われます。

つまった太い血管の血流を、直接開通させる有効な治療はありません。このつまりを補うために発達した“もやもや血管”の血流が低下し、虚血の症状が発作的に出ることを防止するため、不足している血流をさらに補う「血行再建術(けっこうさいけんじゅつ)」が広く行われます。脳の血流は低下していても、頭蓋骨の外側で頭皮の下の血流は良好に保たれています。そこで、ここを走行する「浅側頭動脈(せんそくとうどうみゃく)」を、脳の表面の「中大脳動脈(ちゅうだいのうどうみゃく)」につなげる「吻合術(ふんごうじゅつ)」<図1>が血行再建術の代表です。その他、浅側頭動脈とその周囲の豊富な血流を有する組織を一緒に、脳の表面に移植する手術も行われます。さらに頭蓋骨の表面にある「側頭筋(そくとうきん)」を、脳の表面に敷く手術も場合により選択されます。「もやもや病」は両方の脳の血流が低下しますので、これらの治療は通常両方の脳に対して数ヶ月間の時期をずらして行われます。

治療成績

「もやもや病」の診断と治療は、日本で多くの実績があります。その結果、子供のもやもや病に適切な吻合術が行われた場合、その経過が良好であることがわかっております。

一方、年齢が低く症状の進行が早い子供では、重い神経障害や知能障害を残す場合があります。

成人に多い脳出血で発症するタイプでは、その出血量と場所により重い後遺症を残す場合があります。また時に出血量が大量である場合、生命に対して重大な危険がおよぶ場合があります。出血で発症するタイプは虚血で発症するタイプに比べ

  1. 症状が重い
  2. 再び出血することが18~40%ありそれは10~20年後の場合もまれではない
  3. 出血を防止する有効な治療方法が今のところない

などの問題があります。

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