正常圧水頭症
タップテストで髄液を抜いて反応があった場合は、脳室に溜まった髄液を本格的に流す手術が行われます。全身麻酔をかけ、頭蓋骨に人差し指ほどの小さな孔を開け、ここから直径2mmほどのシリコン製チューブを、脳室に入れます。このチューブを、頭の皮の下から、首からお腹の皮膚の下を通し、最後に腸の脇に入れます。チューブを通すための小さな傷は、全部で4箇所ほどです。頭の中で余計に溜まった髄液は、このチューブを伝ってお腹に流れ、お腹の中で再び体に取り込まれます。手術では途中、髄液の流れを調節するバルブを、埋め込みます。このバルブは磁石式で、手術が終わった後、症状の治り具合やCTなどの写真を参考にして、皮膚の上からバルブの圧力を磁石で調節します。この正常圧水頭症に対する手術を、シャント術と呼びます。シャント術は、腰からお腹の中へ髄液を流す方法もあります。
正常圧水頭症に対するシャント術の効果は、歩き方の改善が9割、物忘れとトイレの問題の改善が5割程度です。中には劇的に生活レベルが改善する方がおられます。
正常圧水頭症の診断は、神経を専門とする内科や脳外科が行います。歩き方の不自由さに、物忘れとトイレの問題などが加わって病気が進行してしまうと、治療効果が少なくなりますので、早めの受診をお勧めします。
■シャント術 V-Pシャント
■シャント術 L-Pシャント