絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

脳腫瘍

脳腫瘍治療の基本は手術です

病気の中には全く無症状のままで経過する場合や、症状はあるものの進行せずに安定している場合もある事が知られています。この様な場合は手術をせず、外来でMRI検査を行いながら、様子をみる事があります。ただし、頭蓋内圧亢進症状を出す程の病気や、部分症状であっても検査上進行していく事が予想されるタイプでは、さまざまな方法を使って治療が行われます。病気のタイプによって、治療法が異なりますが、最も強力な治療法として、手術があります。

手術には2つの意義があります

病気の場所と関連した症状がでる事があります。代表的な症状として次のような症状があります。

1)病気を正確に判断するため

どの種類の脳腫瘍か、MRIなどの検査を行っても判断できない事があります。この場合、そのまま様子を見ていて良いか、放射線や薬による治療を行うべきか、使うとしたらどの薬を選ぶか、以上を判断するため、病理検査と呼ばれる検査が行われます。病理検査とは、手術により取り除かれた腫瘍を顕微鏡で観察してその種類を決定する方法です。

2)病気を取り除くため

病気を治す為の、本来の手術の意義には腫瘍切除があります。しかし、いくつかの大事なポイントを常に手術前に考えて治療計画が作られています。そこには、手術を必要とする病状の患者さんに対して、

  1. 健康(健常)な部分も含めて病気を切除できない。
  2. 脳の腫瘍には境界が不明確なものも多く、切除範囲が眼で見て判断しにくい。
  3. 腫瘍を観察する、または切除する為に周囲の重要な血管、神経、脳などを傷つけられない。

つまり、手術後の後遺症をできるだけ起こさずに、できるだけ腫瘍を取り除く為には、様々な手術法が開発されてきました。当院では、MRXOと呼ばれる手術中に画像を見ながら手術を進行する最新の手術法を行っております。

術中画像診断、MRXOとは?

手術中に医師が常に気をつけているのが、自分のメスの先には何があるのか、という事です。つまり、小さな病気に集中しながら、正常な構造の位置や並びを常に考えています。しかし、病気の覆われた部分や、より奥の部分(深さや切除の方向)の評価は大変困難です。これは手術前に行った画像検査(CTスキャンやMRI)を医師が記憶し、手術の進行度に応じて記憶と現実を手術を行っている医師の頭の中でマッチさせているからで、スムーズな手術の進行を妨げる理由にもなり得ます。

近年の画像診断技術とコンピューター技術の進歩によって、手術中に術前の画像情報に基づいて、ナビゲーションしてくれる装置が開発されています。つまり、いま自分のメスはどの方向を向いているのか、腫瘍はあと何cmまで存在すると考えるのか、など極めて有益な情報を提供してくれる装置です。手術中に検査を行い、検査結果を手術室のコンピューターに送り、患者さんの実際の頭の向きや角度を覚え込ませて、検査結果の上にメスの先が表示される仕組みです。自動車のナビゲーションシステムと全く同じ発想です。

東海大学脳神経外科では、早くからこの装置を導入し、より正確で安全性の高い治療に取り組んできました。その結果、最大限に腫瘍を取り除き、できるだけ正常の神経機能を保つ事が可能となりました。

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