絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

くも膜下出血

再出血予防の手術を行います

脳動脈瘤が原因であるくも膜下出血の患者さんにとって最も危険な事は、再発作(再出血)す。破裂した脳動脈瘤は、もう一度出血(再破裂)しやく、特に24時間以内が要注意です。再破裂によりくも膜下出血が増え、脳のダメージがより深刻になり、生命の危険が高くなります。この再破裂を防止する為に脳動脈瘤にいく血流を止める治療が手術です。

手術は大きく分けて、頭を開いて動脈瘤の付け根をクリップという金属製の洗濯バサミのようなもので閉じてしまうクリッピング術と、股の付け根の血管(大腿動脈)から動脈瘤までカテーテルを入れて、プラチナ製のコイルを詰め込むコイル塞栓術とがあります。どちらも脳動脈瘤の中に入る血流を止める手術になりますが、どちらの治療を選択するかは、脳動脈瘤の大きさ、場所、年齢などによって異なります。

当院では、なるべく早期に最善の治療法(病状、動脈瘤の位置などから判断して決定します)を行える体制を常時整えています。

くも膜下出血の原因「脳動脈瘤」の手術

くも膜下出血の原因「脳動脈瘤」の手術

手術によって止血が行われた後で、本格的にくも膜下出血そのものに対する治療が開始されます。脳動脈がとおるくも膜下に広がった出血は、脳にダメージをおよぼすだけでなく、脳動脈そのものにも変化を起こします。脳血管攣縮(れんしゅく)と呼ぶ血管が細くなる変化は、脳の血液不足を起こし脳梗塞の原因になります。この現象は発症4日目から14日目に多く見られ、この時期は集中的な治療が必要です。くも膜下出血のダメージとこの時期の脳梗塞のダメージが重なると、後遺症や生命の危険がより高くなります。様々な方法でこの時期の治療が行われていますが、障害を決定的に予防できる方法は未だ見つかっていません。

「再破裂」「脳血管れんしゅく」は、より重症、重篤な患者さんの場合には特に大きな問題で、治療法については専門医の間でも意見が一致しない部分があります。東海大学では、積極的に重症のくも膜下出血の治療に取り組み、早期の止血手術や、脳梗塞防止のためのさまざまな治療法などをもちいて、個々の患者さんの状態に応じたもっとも良いと考えられる治療を行っています。

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