未破裂脳動脈瘤で手術を行わない場合の内科的治療

担当:反町 隆俊(外来担当日 月曜)

未破裂脳動脈瘤は、MRAの普及により見つかることが多くなりました。手術適応でない場合や、手術を希望しない場合の内科的治療は、血圧管理、禁煙、過度の飲酒を避けることが中心になります。

手術適応と方法

未破裂脳動脈瘤は成人の2-5%に見られ、多くの動脈瘤は年間破裂率が1%以下のため、手術を行わずに様子を見る場合が少なくありません。脳卒中治療ガイドライン2015では手術適応について、1)大きさが5-7mm、2)5mm未満であっても破裂しやすい前交通動脈瘤や内頸動脈 -後交通動脈瘤で細長い形状や増大したもの、などとなっています。手術は、平均すると5%程度で合併症により障害が残ると報告されています(2012年以降、当科の合併症による障害残存率は軽度の障害も入れると2%くらいです)。破裂と手術のリスクを比較すると、だいたい10年以上元気に生活することが期待できる場合に限られます。

手術治療には、開頭クリッピング術とカテーテルによるコイル塞栓術があり、症例ごとに、より安全で確実な方法を患者さんと相談して決定します。

危険因子

脳動脈瘤の破裂の危険因子には、高血圧、喫煙、過度の飲酒があります。動脈瘤側の因子としては、最大径7mm以上、前交通動脈瘤、内頚動脈‐後交通動脈瘤、瘤の長さが横幅より大きい(細長い)、不規則な形、多発瘤等があげられます。そのほか、女性、多発性嚢胞腎、くも膜下出血の既往、家族内発症、片頭痛の既往等が報告されています。

逆に破裂リスクを低下する可能性があるものとして、スタチン製剤やアスピリンの報告もありますが、評価は一定していません。

脳動脈瘤が増大する危険因子としては、高血圧、喫煙、過度の飲酒があります。他に女性、多発瘤等が報告されています。

内科的治療

内科的治療では、破裂を完全に防ぐことはできません。そこで、目的は破裂や増大のリスクを上げないことです。血圧管理についての明確な指標はありませんが。血圧管理だけが唯一の投薬治療ができるものであるため、厳格な血圧管理が必要と考えます。当科では、収縮期血圧は130mmHg前後、70歳以下であれば低血圧に気をつけて120mmHg前後を目標にしています。禁煙と過度の飲酒を避けることも重要です。

画像 follow

脳動脈瘤が初めて見つかった時は、3ヶ月以内にまずMRAを行います。動脈瘤は発生後3ヶ月以内に増大したり破裂するリスクが高いと考えられているからです。その後は年齢、瘤の大きさや部位により、半年から1年ごとにMRAを行います。増大した場合は、その都度手術適応を検討します。ただし、高齢者の小さな動脈瘤は手術適応にならないため、80歳くらいでMRAでの経過観察は終了となることが多くなります。

ご紹介いただいた場合

東海大学では、神経内科との合同の検討会で、症例ごとに治療方針を決定しています。どのような患者さんでもご紹介いただければ、最善と思われる治療方針について患者さんに説明させていただきます。その後、患者さんとよく相談し、治療方法を決定しています。保存的治療を選択した場合は、画像followは東海大学で行いますが、内科的治療は原則としてご紹介いただいた先生にお願いしておりますので、その際にはよろしくお願い申し上げます。

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