絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

神経膠腫(グリオーマ)

脳は神経細胞(しんけいさいぼう)と神経線維(しんけいせんい)、そしてその間を埋めている神経膠細胞(しんけいこうさいぼう・グリア細胞)から作られています。この神経膠細胞から発生する腫瘍を神経膠腫(グリオーマ)と呼びます。グリオーマは脳腫瘍の約25~30%を占めています。

グリオーマは、脳に発生する「がん」と考えられています。すなわちグリオーマは「脳がん」という悪性腫瘍(あくせいしゅよう)なのです。またグリオーマは、周りの脳に浸み込むように成長します(図)。すなわち、正常な脳組織との境界がわからなくなり、これは治療を難しくします。

この腫瘍は、手術で取り出された病変を顕微鏡で検査した結果で、その顔つきから、さらに4つの段階に分けられます。この段階は、治療成績と強い関係があります。段階が進むにつれて、治療の効果も悪くなります。ちなみに段階が最も進んだ患者さんの5年生存率は8%前後であり、ヒトに発生する「がん」のなかでも5本の指に入るぐらい、治療効果の悪い腫瘍です。したがってグリオーマにかかると、長い間にわたり病気と生活を共にする必要があります

松前光紀著「脳腫瘍の理解」クリニカルスタディvol.29,no.14,2008年 メヂカルフレンド社

イラスト:北原 功

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