絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

水頭症

脳脊髄液が頭の内側で過剰に留まる病気です

単独で病気として存在する場合や、他の脳疾患に合併して存在する場合などがあります。多くの場合は、脳室(のうしつ:脳内に存在する脳脊髄液の貯留した部屋)が拡大した病状に使われていますが、脳室の拡大だけで水頭症と判断しない病状もあり、全身の症状と併せて診断されています。

生まれつきの異常で起こっている場合を先天性、生まれてから生じた異常で起こってきた場合を後天性と区別しています。

脳脊髄液と脳室のしくみ

脳脊髄液は、脳全体を覆う様にあって脳保護液として働いていると考えられています。脳を浮かせて急激な頭部の動きでも脳への衝撃をやわらげたり、部分的な脳の活動によって産生される物質を取り除くなどの働きも併せ持つとされる無色透明な体液です。脳に本来そなわっている脳脊髄液を貯蔵する部屋(脳室)に存在する脈絡叢(みゃくらくそう)より産生されています(血液の成分から)。一定の流れがある事が知られていて、1日で3回ぐらい全体が入れ代わる程度のスピードで循環していると考えられています。

脳の内側で4つに分けて存在する脳室はそれぞれを通路が結んでいる構造となっていて、内部から生まれ、ある程度は部屋に貯蔵され、部屋から部屋へ流れています。

最終的に脳室から出てきた脳脊髄液は、くも膜(脳の保護膜)と脳との間に広がり、吸収される場所から血液へ戻って行きます。もちろん、脳と繋がる脊髄の周りも脳脊髄液は存在していて循環しています。

こどもの病気ではないの?

頭の大きくなる病状として、お子さんの水頭症は昔から知られてきました。頭蓋骨はいくつかの骨が組合わさって出来ていますが、生まれてしばらくの間は骨同士の結合が弱く、やわらかく組合わさっています。生まれつき水頭症をもっているお子さんや、頭蓋骨の結合がやわらかい時期に水頭症になったお子さんは、余分に溜まって大きくなった脳室の圧力によって頭蓋骨を押し広げる状態が続き、結果として頭が大きくなる事が起こります。しっかりとした結合になった後では頭が大きくなっていく事はありませんし、大人でも同様です。こうした特徴がある為、お子さんの病状が良く知られていますが、年齢を問わず発生する病気です。

大人の水頭症で有名な病気は、正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)と呼ばれる病気です。年齢の高い大人が発症する水頭症です。この正常圧水頭症については、「正常圧水頭症」の項目で、詳しく解説します。

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