未破裂脳動脈瘤
脳動脈瘤が見つかったら(未破裂脳動脈瘤について)
─脳動脈瘤とくも膜下出血─
脳動脈瘤はくも膜下出血の原因になります
「脳動脈瘤」とは、脳の血管が二またに分かれる所にできる血管の膨らみです。この脳動脈瘤が、ある日ある時に突然破れて、脳の表面を覆うくも膜という膜の下(脳の表面)に出血することで「くも膜下出血」がおきます。脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血になると、3分の1の方が亡くなり、3分の1の方に麻痺などの障害が残り、元の状態に戻って社会生活をおくることができる方は残りの3分の1だけになります。そこで、くも膜下出血になる前に治療をすることが重要になります。
出血する前の脳動脈瘤を、「未破裂脳動脈瘤」といいます。未破裂脳動脈瘤は、出血するまではまったく症状がないことがほとんどですが、ときに出血していなくても脳神経を圧迫して眼の動きの障害などが症状としてでることもあります。
脳動脈瘤ができやすい体質は遺伝することがわかっています。肉親がくも膜下出血になったかたは、検査によって脳動脈瘤が発見される可能性が、それ以外の方よりも多いとされています。
未破裂脳動脈瘤が出血する危険性
未破裂脳動脈瘤は大きさにより、破裂してくも膜下出血になる危険性が異なります。2012年に日本脳神経外科学会から発表された結果に沿って説明します。脳動脈瘤は大きいもの程破れやすく、小さいものは破れにくいという事がわかっています。平均すると、5~7mmを超える脳動脈瘤では、1年に1%くらい(100人に1人くらい)が破れて出血します。それよりも小さい場合は、出血する危険性はかなり低くなり、大きいものは出血の危険性が高くなります。また、動脈瘤ができる場所によっても出血する割合が異なります。例えば、前交通動脈や、内頸動脈と後交通動脈の分岐部にできる動脈瘤は小さくても破裂しやすいとされています。さらに、動脈瘤の形によっても破裂しやすさが異なります。動脈瘤の先から小さな膨らみが出ている場合は約1.6倍破裂率があがります。