絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

未破裂脳動脈瘤

くも膜下出血の予防は手術になります

未破裂脳動脈瘤の破裂予防のための治療は、現状では手術しかありません。手術は大きく分けて、頭を開いて動脈瘤の付け根をクリップという金属製の洗濯バサミのようなもので閉じてしまうクリッピング術(開頭術)と、股の付け根の血管(大腿動脈)から動脈瘤までカテーテルを入れて、プラチナ製のコイルを詰め込むコイル塞栓術(カテーテルによる血管内手術)とがあります。どちらも脳動脈瘤の中に入る血流を止める手術になりますが、どちらの治療を選択するかは、脳動脈瘤の大きさ、場所、年齢、患者さんの希望などにより決まります。また、手術治療には危険が伴います。脳動脈瘤は必ず破れるというわけではないので、特に動脈瘤が小さい場合やご高齢の方の手術治療は慎重に考える必要があります。破裂して具合が悪くなる危険性と手術して具合が悪くなる危険性をてんびんにかけて、手術治療を決めることになります。場合によっては、手術をせずに経過観察を行うことが、最善の治療法になることもあります。

未破裂脳動脈瘤の治療決定

脳動脈瘤の手術

経過観察をする場合は、最初に脳動脈瘤が見つかってから3ヶ月以内に2回目の検査を行います。その後は、半年から1年ごとに検査を行い、脳動脈瘤が大きくなったり形が変わった場合には、もう一度手術について患者さんと一緒に考えることになります。

脳動脈瘤の開頭手術は脳神経外科専門医が、カテーテルによる血管内手術は脳神経血管内治療専門医が行います。東海大学では、複数の脳神経外科専門医と脳神経血管内治療専門医・指導医で、開頭手術と血管内手術の両方を行っています。また、脳動脈瘤の専門外来を開いており、豊富な経験に基づいて、個々の患者さんごとに最もよいと考えられる方法を提示し、患者さんと充分に相談して治療を行っています。脳動脈瘤が見つかった場合、または脳動脈瘤が心配な場合は、脳神経外科の外来にご相談ください。

「未破裂脳動脈瘤」の手術を行う場合の一般的な流れ

  1. 外来で、診察、MRI、CT血管造影(注射をしながらCTを行う)、血液検査などを行います。
  2. 入院して、脳血管造影(カテーテル検査)を行います。
  3. 外来で手術について相談します。
  4. 入院して、手術を行います。順調な場合の入院期間は「コイル塞栓術」は1週間以内、「開頭クリッピング術」は2週間以内になります。

ページの先頭へ