絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

慢性の痛み

慢性の痛みとは

脳を源とし、背中の真ん中を走る脊髄(せきずい)から手足や内臓に分布する神経は、脳からの信号を伝える役割と、手足などで感じる痛みなどを脳に伝える、上りと下りの信号を伝える役割があります。ヒトは、皮膚などが傷んだ時の危険信号として、痛みを神経を通じて脳に伝えます。多くの場合、傷んだ部分は自然に治りますが、痛みを伝える神経に問題が拡大すると、神経組織から痛みを起こす物質が周りに散らばり、痛みが繰り返して襲ってくる悪循環が発生します。この悪循環が長い間続く場合を、慢性の痛み(まんせいのいたみ)と呼びます。

痛みの伝達

痛みの伝達

痛みの種類

【腰・足の痛み】
体の芯となる脊柱(せきちゅう)に問題があり、脊髄神経や末梢神経が圧迫されることにより、腰から足にかけて痛みが生じます。圧迫している脊柱の骨などを除去する手術が行われますが、手術後に痛みが残り慢性化することもあります。
【カウザルギー】
別に複合性局所疼痛症候群(ふくごうせい きょくしょ とうつう しょうこうぐん)という難しい日本語が付いている病気の仲間です。神経が傷んだあと、激しい痛みが長く続く状態です。軽いけがなどのあとにも発生することが知られ、けがの程度と痛みの強さが不釣り合いなことも特徴です。痛みは、服を着る、軽く風があたる、触っただけでも痛い、などで生じます。時に、皮膚が腫れたりその色が変化したり、汗を異常にかいたりすることがあります。
【帯状疱疹(たいじょうほうしん)】
ヘルペスウイルスが神経を侵し、神経が走る場所の皮膚が発赤し、小さな水疱ができ、さらに強い痛みを伴うことが特徴です。いまはこのウイルスに有効な薬があり、また痛みに対しても効果が高い薬があります。皮膚の状態が良くなったあとも、頑固な痛みが続くことがあります。
【脊髄の病気】
神経から脳へ痛みを伝える脊髄の様々な病気で、慢性の痛みが出現することがあります。
【幻肢痛(げんしつう)】
手足を失った後に、失った手足があたかもあるように感じられ、その手足に痛みやしびれなどの異常感覚を感じてしまう状態です。
【心因性(しんいんせい)の痛み】
ストレスや社会的背景など、心理や社会的な要因から生じる痛みです。この痛みには、心療内科、精神科、臨床心理士が治療の主体を担い、後に述べる脊髄刺激療法は効きません。

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