絵で見る脳と神経の病気 代表的な病気をわかりやすくご説明します

パーキンソン病

脳手術でもう一度あのころの自分を取り戻す

お薬を中心とした治療のパーキンソン病の生涯の中に、脳深部刺激療法などの外科治療を加えると、パーキンソン病の自然経過を変えるチャンスができます。パーキンソン病の治療で、最初から脳手術(脳深部刺激療法・DBS)が選ばれることは絶対にありません。たいていは、薬の効果が薄らいで数種類の薬を飲む時期となる頃、つまりパーキンソン病になって8~10年程度経った頃、脳手術(脳深部刺激療法・DBS)を考えて頂く症状の方が増えてきます。またパーキンソン病になって8~12年前後で、薬の副作用に悩む時期も、脳手術(脳深部刺激療法・DBS)を考えるよい時期と言われる様になってきました。

脳手術(脳深部刺激療法・DBS)でパーキンソン病の何が良くなるか? この疑問に一言で答えるのなら、「オフの底上げ効果」です。外科医が行う脳手術(脳深部刺激療法・DBS)をもってしても、パーキンソン病を治したり、パーキンソン病の流れを止めることはまだできません。ただし、薬を飲む回数を少なくしたり、また種類を減らすことは期待できます。薬の種類を減らすことができた患者さんは、後から追加された薬の副作用を軽くすることも期待できます。つまり、パーキンソン病になって8~12年後の時期に、脳手術(脳深部刺激療法・DBS)を受けると、パーキンソン病の自然経過で、ひとつ前の段階に戻り、もう一度「あのころの自分を取り戻すチャンス」が実現できる可能性があります。先ほど「脳手術(脳深部刺激療法・DBS)では、パーキンソン病の流れを止めることはできない」と述べました。この脳手術(脳深部刺激療法・DBS)を、パーキンソン病の生涯に組み込むことによって、できるだけ安定した状態で生活する期間を延ばすことが可能です。

それでは、脳手術(脳深部刺激療法・DBS)を組み込むと、パーキンソン病の自然経過はどのように変わるのでしょうか? ご理解いただきたいことは、脳手術(脳深部刺激療法・DBS)は約5~7年間にわたり効果を発揮することが確認されています。この5~7年間、治療の内容を前の段階に戻して、もう一度「あの頃の自分を取り戻すチャンス」が生まれるわけです。

ただし、病気の進み具合と手術の効果には個人差があります。パーキンソン病すべての患者さんが、この図に示したとおりというわけではありません。多くの患者さんの今までを振り返り、このように分けて考えると理解しやすいと受け止めてください。このページをご覧になった方、それぞれ病気の進み具合は異なることを理解し、次のページに進んでください。

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